男性の残尿感の原因は前立腺肥大症かも?
男性の残尿感の原因として「前立腺肥大症」が考えられます。この病気の代表的な症状は頻尿、夜間頻尿、尿意切迫、残尿感、放尿力の低下、尿閉、失禁などの排尿障害が挙げられ、男性が50歳を過ぎると罹りやすくなっています。
前立腺肥大症は老化現象の1つとしてとらえられ、その原因に男性ホルモンが深く関わっているのではないかと考えられています。60歳を超える頃になると罹患率も高まり、男性の1割以上が病院で治療を受けているといわれていますが、場所が場所ということもあり、適切な治療を受けていない人も多いのではないかと心配されている病気です。
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目次
前立腺肥大症とはどんな病気?
前立腺は男性だけにある臓器で、生殖活動などの重要な役割を担っています。膀胱のすぐ下に位置し、膀胱の出口から始まる尿道を取り囲むように存在しています。形や大きさともに栗の実に例えられ、成人ではおよそ15~17グラムほどしかありません。
尿道が前立腺のほぼ中央を通り抜けていることから、中高年になって前立腺が肥大してくると尿道が圧迫され尿が出にくくなるのです。尿意はあってもなかなか全て排出できずに残尿感が付きまといます。実際に膀胱の中に尿が残っているため、何度もトイレに行くたくなる頻尿という状態が続きます。
前立腺肥大症の症状は病期によって変化
前立腺肥大症には病気の進行度を示す「病期」が設定されており、それぞれの病期で症状も変わってきます。頻尿や残尿感の他にも何らかの排尿障害がある人は、自分の病気の進行具合をある程度知ることができますので、ぜひチェックしてみて下さい。
第一期・膀胱刺激期
基本的にまだ症状が軽い時期です。尿が近くなってトイレに行く回数が増え始め、とくに夜間に尿意を感じることが多くなります。これは肥大しはじめた前立腺が膀胱の出口や尿道を圧迫したり、刺激したりすることで、あまり尿がたまっていないのにトイレに行きたくなるという現象です。
排尿にかかる時間も長くなり、尿が出る勢いも弱いのが特徴です。その他、トイレに間に合いそうにない尿意切迫があったり、そのために僅かに尿漏れを起こすこともあります。排尿の際に無意識にいきんでいることもあります。
トイレが近くなる過活動膀胱とは?
第二期・残尿期
前立腺の肥大がさらに進んだこの時期は、尿がますます出にくくなっています。実際に尿が膀胱の中に残っていますので、常に残尿感を感じるようになります。第二期からは、膀胱が尿でいっぱいになっているにもかかわらず、膀胱の出口が開かず排尿できなくなる閉尿という状態が起こりやすくなります。
ある日突然襲ってくる急性閉尿は、悶絶するくらいの痛みと苦しさがありますので、すぐに尿を出す治療を受けないと大変な事態に発展しかねません。残尿感とともに下腹部に不快感がある人は要注意となります。
第三期・尿閉期
さらに症状が重くなる時期で、排尿しても常に150~300mlもの尿が膀胱内に残ってしまいます。尿を押し出すために必要な膀胱の筋肉も弾力性を失い、排尿するだけなのに相当いきまないと出てくれない状態になります。尿閉によってときに1000mlの尿が膀胱内にたまってパンパンに膨長させることもあります。
この状態になると今度は膀胱が持ち上がって腎臓からの尿路である尿管を圧迫して腎臓にも障害が及ぶ危険性が高まります。腎不全を起こすと老廃物が体の外に排出されなくなるため、最悪の場合は命を落とす事態も有り得ます。尿閉期の特徴として、トイレにいっても排尿が難しいのに、トイレを離れてから尿がダラダラと漏れる溢流性尿失禁を起こしやすくなります。
前立腺肥大症の合併症として、尿路(腎臓、尿管、膀胱、尿道)に感染症を起こしやすくなります。膀胱炎や尿道炎の原因となる大腸菌などの細菌が、腎臓にまで上がって腎盂腎炎を起こす危険性も高くなるのです。いずれにしても残尿感などの異常が続く場合は、早期に泌尿器科を受診することをお勧めします。
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