子供の糖尿病に見られる症状とは?
糖尿病は大人の病気と思われがちですが、子供が発症することもあり、その症状はほとんど同じです。ただし、子供の場合は、食べ過ぎや運動不足など、生活習慣が原因で起こることは非常に少なく、ほとんどが生活習慣に関係なく突発的に発症するタイプで、「1型(インスリン依存型)糖尿病」と呼ばれています。
これは、インスリンを分泌している「膵臓のランゲルハンス島にあるβ細胞」が破壊されることで、全く分泌されない「絶対的な不足」が起こり、小児や若年層が発症しやすいタイプといえます。したがって、大人に多い2型(非インスリン依存型)に比べ、「急激に発症しやすく、症状も重い」というのが特徴です。
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目次
子供の糖尿病の症状は?
膵臓のβ細胞から分泌されるインスリンというホルモンは、血液中のブドウ糖が細胞へ入るための「切符」という考え方ができます。その切符がない状態になると、血液中にはブドウ糖が有り余っているのに、全身の細胞がエネルギー源として欲しているブドウ糖が取り込めないという状況に陥ることになります。その結果、子供の糖尿病では下記のような症状が現れます。
・尿量や排尿回数の増加
血糖値が高くなると、余分なブドウ糖は尿と一緒に体外に排出されるため、基本的に尿量が多くなります。夜中に何度もトイレに行ったり、とくに小学生以下の子供では「おねしょ」が始まることもよくあることです。
私たちの腎臓内で作られる原尿は1日に150リットルで、そのほとんどは尿細管から体内に再吸収されていますが、増えすぎたブドウ糖による浸透圧上昇により再吸収も難しくなってしまいます。結果として排尿回数が増えるのは仕方のないことです。
・のどの渇きと多飲
多量の水分が尿として排出されるため、体内の水分が不足してのどの渇きを訴えたり、水分をよく摂るようになります。子供の糖尿病でも、健康体では考えられないほどの多飲が目立つこともあります。
・空腹感
インスリンが分泌されないため、細胞がブドウ糖を取り込むことができませんし、尿と一緒に排出されることでエネルギー不足となり、空腹感が増すこともあります。ただし、食欲が低下するという逆の現象も考えられます。
・体重の減少
食べ物からエネルギー源を細胞内に取り込めなくなるため、いくら食べても痩せて行きます。
・疲れやすい
体がだるかったり、疲れやすくなり、風邪をひいた際に似た症状が出ます。
・うとうとする・昏睡
エネルギー不足が深刻化すると、代謝のバランスが崩れてしまって血液が酸性に傾く「ケトアシドーシス」が見られます。その結果、脳の機能低下が起こり、頻繁にうとうとしたり、ときに意識を失って昏睡状態に陥ることもあります。
子供の糖尿病ではインスリン注射は必須!
インスリンの絶対的不足が起きる1型糖尿病では、血糖値をコントロールするためにインスリン製剤の注射が必要不可欠です。食事療法や運動療法も必要ですが、まだ成長段階ということもあり、あまり厳しいエネルギー制限は行いません。
また、子供は学校や遊びの中で運動を取り入れていることもあり、消費カロリーも多いため、とくに目立った運動は必要ないと思われます。逆に心配されるのが、「低血糖」に陥ることです。インスリン療法を行っていると、食事の量が少なかったり、激しい運動をしたりすると血糖値が下がりすぎて、手のふるえ、けいれん、意識を失うなどの危険な症状が現れることもあります。
気になる合併症は?
高血糖が持続すると、2型糖尿病と同じく糖尿病性の「網膜症」「腎症」「神経障害」などの合併症が起こります。子どもの場合、思春期まではまず現れませんが、もちろん進行すれば失明や腎不全のリスクも高まりますので、常に血糖値のコントロールは必要です。
合併症の恐怖と闘いながらの生活は大変ですが、周囲の理解を得ておくことも大切かもしれません。とくに低血糖が原因で昏睡などの症状が現れる以上、速やかに糖分を補給させてくれる人が近くにいると安心ですね。
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