体の至る所に起こる様々な症状についてわかりやすく説明します。

がんの痛みの原因は?「我慢しない」が緩和ケアへの第一歩!

がん痛み 原因

がんの痛みの原因は?「我慢しない」が緩和ケアへの第一歩!がんの痛みは「身体的な痛み」をはじめ、「精神・心理的」「社会的」「スピリチュアル」といった4つの痛みから構成され、お互いが密接に絡み合い、総合して「全人的痛み(トータルペイン)」という表現が使われています。

 

がんを患ったことが原因となり、「肉体への苦痛」「焦り」「イラ立ち」「不安」「仕事上の不安」「経済的な問題」「死の恐怖」などが常に付きまとい、患者さんを苦しめることになりますが、今回はせめて身体的苦痛を取り除くために必要なことを中心にご紹介したいと思います。

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目次

がんによる身体的な痛みの原因

がんを発症したことで「体に感じる痛み」の原因には「がん自体によるもの」「がんに関連するもの」「治療によるもの」が挙げられます。患者さん本人にしかわかり得ないものであるため、医師に的確に伝え、緩和するためにも具体的に整理しておくことが大切です。

 

・がん自体による痛み
これは、がんの病巣が原因となるもので「内臓がうずく・ズキズキする」「炎症性で熱を帯びたように感じる」「腹膜や髄膜などが引き伸ばされるように感じる」などが挙げられます。また、腫瘍などが直接神経を刺激することで強い痛みが現れることも考慮する必要があります。

 

神経に触れる場合、必ずしも病巣の大きさと痛みの強さが比例するわけではなく、小さながんでも激しく痛むことは珍しくありません。患者さんが感じる苦痛の約7割が、このがん自体によるもの考えられています。

 
がんの痛み
 
・がんに関連する痛み
これは病巣自体には無関係といえますが、例えば、がんを発症したことで長期間横になって生活していると、関節が硬くなったり、筋肉が衰えたりして、体を動かす時に苦痛を招くことがあります。このように体を使わなくなったことが原因で、関節や筋肉に負担をかけて起こる痛みを「ユースレスペイン」と呼んでいます。

 

・治療に関する痛み
主に手術後の傷や抗がん剤が原因となって起こるもので、術後の傷に沿って痛みが続いたり、抗がん剤を使用することで「口内炎」や「抹消神経障害」が起こることもあります。

 

抗がん剤の場合、がんが神経に触れることで起こるものとは異なり、手の指先や足先から痛みが上がってくるように感じられるが特徴となっています。同様に「放射線治療」を受けることにより、口内炎や腸炎による炎症性の痛みを感じることがあります。
 
がん 治療

 

がんによる痛みの表現は様々!

訴え方や表現のしかたによって多少の個人差がありますが、主に多くの患者さんが訴える表現は下記のようなものが挙げられます。がんが原因で起こる痛みも様々です。

 

・うずく、ズキズキする
主に内臓の機能障害を起こしているために感じられる痛みで、多くの患者さんに共通するものと考えます。炎症によって熱を帯びることもあります。

 

・ギュウギュウと感じる
主に大腸がんなどを発症することにより起こるもので、狭窄した腸管が内容物を通過させたり、排泄するために押し出そうとする時に「ギュウギュウ」といった、間を開けたような痛みがが襲ってくることがあります。

 

・鋭い痛み
神経および、腹膜などの膜が刺激されることで感じます。

 

・刺すように、焼けるように感じる
これは神経の痛みの特徴で、他にも「締め付けられるように」「電気が走るように」と訴える人も多いです。

 

◎痛みの起こり方
がんによる痛みの起こり方は「ほとんど痛まないが、突発的に襲ってくる」「強弱の波がある」「断続的に起こる」「一日中痛んでつらい」「体を動かしたときのみ」など、いくつかのパターンがあり、病状によって多少異なるようです。

 

がんによる痛みを我慢しない!

がんによる痛みを我慢することは精神衛生上にも問題があり、必ず医師に相談して緩和してもらえるようお願いする必要があります。我慢を続けていると、脳の中の神経伝達物質である「ドパミン」の分泌量が減り、「病気と闘う意欲」や「やる気」というものが失われていきます。

 

「食欲不振」や「不眠」に陥る原因にもなり、体力や気力に悪影響を及ぼします。ドパミンは、脳の「やる気」を生み出す場所である「側坐核」に関わり、精神的な意欲を維持するための重要な物質です。

 
がん 痛み 原因
 
また、ずっと我慢することで「何もできない」「会社に行くことすらできない」「退職への不安」などを感じるようになり、精神的、社会的な痛みを誘発する原因にもなります。

 

具体的に医師に伝えることが大切!

がん治療は、病気本体の治療と並行して、痛みの治療にも重きを置いています。できるだけ苦痛を取り除き、十分な睡眠によって体を休めることで、身体的な耐用力がついたり、抗がん剤の副作用を乗り越える精神力も身に付いてきます。ですから、医師に遠慮して痛みを我慢することは決して良くありません。
がん 痛み

痛みについての「部位」「強さ(10段階で表す)」「痛み方(ズキズキするなど)」「どんな時に起こるか」などを具体的に伝えて、医師との信頼関係を築くことも重要です。緩和ケアというと「終末期」をイメージされる人も多いですが、まだ「早期」と呼ばれる段階からしっかりケアすることで、QOL(生活の質)を高めたり、治療に向けた意欲を高める効果も期待できます。

 

また、全国にある「がん診療連携拠点病院」では、緩和ケア外来が設置され、医師、看護師、薬剤師、ソーシャルワーカーなどから構成された緩和チームのサポートが受けられます。精神的、社会的な痛みの相談もできるため、利用するのも良いですね。

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