女性の頻尿、残尿感、下腹部痛の原因は間質性膀胱炎!
女性の「頻尿」「残尿感」「下腹部痛」の原因として「間質性膀胱炎」という病気を疑う必要があります。これは近年になって知られるようになった病気で、膀胱の粘膜の下にある「間質」に慢性的な炎症が起こり、「膀胱の知覚亢進」や「知覚過敏」に伴う様々な症状を引き起こすものです。
頻尿や残尿感、尿意切迫感、膀胱の不快感、下腹部痛といった症状は、女性に多いとされる「細菌性の急性膀胱炎」と同じですが、この病気の原因は不明とされており、適切な治療や行動療法などを行わないと「膀胱の萎縮」が進んでしまうといわれています。
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現在のところ、完治は難しいとされる病気ですが、症状をうまくコントロールすることでQOL(生活の質)を保つことも可能となっています。もし昼も夜もしょっちゅう尿意を催すということがあれば、ただの膀胱炎と安心せずに詳しい検査を受けることが大切です。
目次
女性の頻尿や残尿感、下腹部痛などの症状があれば!
間質性膀胱炎は、大腸菌などの細菌感染による炎症ではないため、通常の膀胱炎で使用される抗菌薬を服用しても効果が得られません。体質や環境、刺激など、様々な要因が複雑に絡み合って発症しているとの考えもあり、未だ原因の解明は進んでいません。また、その特徴的な症状については下記にまとめますので、ご参照下さい。
・頻尿
ほとんどの人が訴える症状で、昼夜問わず継続して起こります。ひどい人では、1日に何十回もトイレに行きたくなるほど、尿意を催します。残尿感が絶えない人は要注意です。
・尿意亢進・尿意切迫感
膀胱が過敏になっていることもあり、急激にトイレに行きたくなることが増え、落ち着くことができません。重症化すると膀胱の萎縮も始まりますので、尚更強く感じるようになります。
・膀胱の不快感や下腹部痛
細菌性の膀胱炎では、排尿の終わり頃に痛む「排尿終末痛」が特徴的ですが、間質性膀胱炎では「蓄尿時膀胱痛」といって、尿がたまると痛みを感じやすいのが特徴です。尿で膀胱が膨らんだ時に不快感や痛みを感じるため、頻尿になるのも仕方がありません。
これらの症状には個人差があり、その出方にも「良くなったり悪くなったり」といった波があります。また、食べ物やアルコールなども関与しているため、何を食べると不快感や下腹部痛などが現れるのかを個人でチェックしておく必要もあります。
間質性膀胱炎では、尿検査でも細菌や赤血球、白血球など、何ら異常が見当たらないため、心因性の病気を疑われることが多くなりますが、既に発症している可能性も否定できません。泌尿器科で詳しい検査を受けておくことをお勧めします。
女性の残尿感・血尿・下腹部痛は細菌性膀胱炎!
間質性膀胱炎の診断基準
頻尿や残尿感などは、比較的他の病気でも見られる症状であるため、診断基準やその他の病気との鑑別が難しくなっています。したがって、問診や尿検査の他、「尿流測定」「残尿測定」で排尿の状態を詳しく調べるとともに、「膀胱鏡」という内視鏡を使った検査も行われています。
尿道から挿入して内部の状態を観察するだけでなく、膀胱内に生理的食塩水を入れる「膀胱水圧拡張検査」を行い、間質性膀胱炎に特徴的な「ハンナー潰瘍」や「点上出血」などの有無を調べます。
また、他の「膀胱疾患」「前立腺疾患(男性)」「尿道疾患」「尿路感染症」「婦人科疾患」などが鑑別の対象になりますが、とくに女性の場合、「子宮内膜症」「子宮筋腫」「膣炎」などの下腹部痛を招きやすい婦人科系疾患なども対象に含まれています。
通常、「問診での症状の把握」「膀胱鏡での所見」「他の病気との鑑別」ができれば、その時点で医師による診断が下るはずです。
女性の頻尿、残尿感、下腹部痛は治る?
現在のところ、これといった治療薬はありません。ただし、対症療法として「非ステロイド消炎鎮痛薬」などの痛み止めや、「抗アレルギー薬」「抗うつ薬」「漢方薬」などが使用されています。
検査でも行われる「膀胱水圧拡張術」は治療法としても期待できますが、全ての人に効果があるとはいえません。また、たとえ改善が見られても半年程度しか持続できないようです。したがって、日常生活の見直しによる「行動療法」が非常に重要なウエイトを占めています。
まず食事療法として頻尿や下腹部痛を悪化させるような食べ物を特定し、これを避けるような食生活にします。食事日誌を付けながら、食べて良いものと良くないものを見極める必要もあります。(※一般的に辛いものや酸っぱいものは症状を悪化させるといわれています。)
そして、もう1つ重要なのが「膀胱訓練」と呼ばれるもので、尿意を催した時に少し我慢するだけで、尿をためておく容量をキープさせる効果があります。膀胱水圧拡張術と行動療法が治療の中心になりますが、多くの人が頻尿や残尿感に悩まされず、下腹部痛なども改善されていますので、症状をコントロールすることは十分可能となっています。
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