腹痛・下痢・血便・発熱・吐き気は潰瘍性大腸炎のサイン!?
腹痛をはじめ、下痢、血便、発熱、吐き気などを伴う場合、「潰瘍性大腸炎」の疑いがあります。大腸に潰瘍やびらんを伴う「慢性の炎症」が起こる病気で、国の難病に指定されています。20~30代の人に多く発症し、腸の病気の中では近年最も増えているものです。
その多くは肛門に近い直腸から始まり、S字結腸へと進行、最悪の場合は大腸全体に広がりを見せます。潰瘍性大腸炎はもともと欧米人に多い病気といわれて来ましたが、肉や脂っこい食事をはじめとする「食の欧米化」によって、日本人にも増えたのではないかとの指摘があります。
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目次
主な症状は腹痛・下痢・血便・発熱・吐き気
潰瘍性大腸炎の主な症状として、腹痛と下痢が続き、血便が見られることは比較的よくあることです。血液の他にも、粘液や膿の混じった便が目立ちます。ひどくなると1日に数回から数十回に及ぶ粘血膿性の下痢便を訴えることもあります。
直腸やS字結腸が最初にダメージを受けるため、腹痛は左下腹部に起こることが多く、排便前に痛みが強く、排便すると軽減するという特徴があります。食欲不振とともに吐き気が付きまとったり、嘔吐することもあります。
炎症が進んだ場合、発熱、貧血、栄養障害、体重減少などの様々な全身症状が出るのも、この病気の特徴といえます。
潰瘍性大腸炎の経過
この病気による様々な症状は、大腸への炎症の広がりによって変化していきます。経過に関しても個人差があり、慢性的にずっと続く「慢性持続型」、一旦良くなっても再発したり繰り返す「再発寛解型」、突然悪化する「急性電撃型」などのタイプに分けられています。
最初の発病から2年以内は再発や悪化がよく見られますが、5年経過すれば再発の心配はほとんどありません。その他、たった1度しか発作が起きず、病気が進行することのない「初回発作型」というタイプもあります。
腹痛・下痢・血便・発熱・吐き気が続いたら
消化器内科などで内視鏡検査やレントゲン検査を受ける必要があります。大腸の粘膜の凹凸や潰瘍、びらん、炎症の進み具合を観察して重症度を確認します。治療は薬物療法がメインで行われますが、ときに手術を要することもあります。
この病気の原因ははっきり解明されていませんが、ストレスや細菌感染、自己免疫、遺伝などの異常が複雑に絡むことで発症するのではないかと考えられています。真面目で几帳面な人はとくに罹りやすい傾向があるため、精神的にも肉体的にも安定が保たれるよう、過労や睡眠不足、食生活の偏りなどには十分な配慮が必要です。
腹痛、下痢、血便、発熱、吐き気が襲ってきたら、この病気を疑い、早期に治療を開始することが最も重要です。また、血便は胃がんや大腸がん、胃・十二指腸潰瘍などにも見られるため、医師による鑑別が必要です。
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