空咳が止まらないのは肺線維症の疑いがあります!
空咳が止まらないという場合、「肺線維症」の可能性があります。この病気は、肺を形成してしている肺胞および毛細血管などの実質組織や、組織の間を充たしている結合組織が侵され、繊維性の瘢痕が増して肺が線維化してしまうものです。肺気腫とは正反対に、最終的には肺全体が硬くなり、小さく縮んでしまいます。
これにより、肺の酸素補給機能がおとろえるため、一般に息切れや呼吸困難などの症状を発症し、とくに50歳以上の人に多くなっています。呼吸の数や深さから見て換気量がむしろ多くなっていると思えるのに、呼吸困難やチアノーゼが強い時には、まずこの病気が疑われます。また、激しい音を伴う空咳が止まらない状態になり、よく「爆発的な咳」と表現され、正式には「乾性咳嗽」と呼ばれています。
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目次
空咳や呼吸困難以外の症状とは?
肺繊維症では、空咳が止まらない状態で呼吸が非常に苦しくなることがありますが、何らかの軽い運動などのあとに呼吸困難を起こすケースが目立ちます。これ以外にも「呼吸時のラ音」といって、粘り気のある痰などの分泌物が気管支などを通過する際に生じる雑音も現れます。
突発性肺線維症の場合、空気を吸い込む時に聞かれる音は、湿り気を感じさせるものです。そして、もう1つ特徴的なのが「撥指」といって、指先がヤモリのような形に変形し、これらの症状が数年間も慢性的に現れることも珍しくありません。いずれにしても、ラ音のように湿った呼吸音や空咳が止まらないという症状は共存する可能性があるということです。
肺線維症を起こす原因とは?
この病気の原因はまだすべてが解明されているわけではありません。ただし、慢性気管支炎や肺結核のような長期に渡る慢性の炎症、刺激性や有毒性の強いガスを吸入した結果によるもの、強皮症や慢性の関節リウマチ、汎血管炎などの全身疾患によるもの、がん治療のための放射線照射などがわかっています。
また、塵肺症が高度に進展したケースやある種の薬剤の連用なども原因となり得るとされています。原因不明とされる肺線維症については、急性と慢性に分けられており、急性かつ進行性の場合、数週間から数ヶ月で死亡に至る悪性のものといわれています。
その他、染色体が関与する遺伝説、ウイルス感染説もありますが、最も顕著に現れているのが、この病気の7割の人が喫煙者ということです。
空咳が止まらない時はどうする?
この病気の場合、まず家庭での治療は不可能で、呼吸時のラ音を確かめるため身体検査をしたり、X線やCT検査によって異常がないかを詳しく調べます。また、肺活量と全ての空気を吐き出した時に肺に残る残気量などを計ることで、重症度などを確かめることができます。その他、肺生検といって、肺組の組織の一部を採取して状態を見る方法も欠かせない検査となっています。
治療に関しては、通常ステロイドや免疫抑制剤、線維化を抑制する薬剤などが用いられており、薬物療法で改善を図るのが一般的です。それでも改善されない場合は肺移植もあります。5年生存率は30~50%とされていますので、決して予後が良いとはいえません。
湿り気を帯びた咳、または乾いた咳が止まらないという場合は、せき喘息や本当の喘息に移行することもあるため、どちらも早めに鎮めるに越したことはありません。風邪が治ったはずなのに咳や痰だけが長引いている人は、一度医師の診察を受けましょう。
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