咳が止まらない・痰が絡むなどの症状、その本当の原因とは?
「咳が止まらない」「痰が絡む」などの症状は、風邪をひいた時に誰もが経験したことがあるかと思います。ただし、インフルエンザなどを含む「風邪症候群」の場合は、「鼻水」「のどの痛み」「発熱」などの他の症状を伴うため、比較的わかりやすいといえます。
しかし、他の重篤な病気が原因であったり、加齢による肺機能の低下なども考えられるため、常にのどのイガイガ感があったり、寝ている時に咳で目覚めてしまうようなことがあれば、他の原因を探ってみることも大切です。
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目次
咳や痰が出るメカニズム
基本的に咳は、咽頭、喉頭、気管などの気道の粘膜に吸着した細菌、ウイルス、埃、花粉などの異物を体外に排出しようとする一種の反射運動です。これは、のどや気管支などの壁に枝を出している迷走神経が異物による刺激をキャッチし、延髄にある「咳の中枢」に送られた後、横隔膜や肋間神経に伝達されて咳を起こしています。
また、のどに侵入した異物が多い時には痰が出ます。これは、気管や気管支などの粘膜を覆う上皮細胞の隙間にある「胚細胞」や「粘液線」から分泌された粘液です。主に、気道の内面に潤いを与えたり、異物を絡め取って雪だるま式に大きくして、迷走神経を刺激することで咳を起こさせ、同時に排出する働きがあります。
実は、この刺激をキャッチする迷走神経は、食道、胃腸、心臓、肝臓、腎臓などにも広く分布しているため、これらの臓器疾患などでも咳が止まらないといった症状を伴うことがあります。決して呼吸器系の障害のみに起こる現象とは限りません。
咳が止まらない、痰が絡むのは加齢のせい?
加齢によって咳や痰が増えますが、その原因は「肺機能の低下」にあります。とくに肺の内部にあって、酸素と二酸化炭素のガス交換を行う無数の「肺胞」の構造が、少しずつ壊れて行くことが問題です。
加齢に加え、長く生きていると大気汚染やタバコなどの有害物質を吸い込む機会が増えることになり、肺にダメージが蓄積されています。したがって、微熱などの他の症状がないのに、咳が止まらない、痰が絡むなどの症状があれば、そのダメージが病気となって現れはじめているのかもしれません。
市販の咳止めなどの薬を服用しても一向に改善されない場合は、「咳喘息」「COPD(慢性閉塞性肺疾患)」などが疑われます。痰が絡む人の中には「血痰」が見られる場合もあり、「肺結核」や「肺がん」などの可能性も視野に入れる必要が出て来ます。
咳喘息とは?
「喘息」といえば、「ヒューヒュー、ゼーゼー」といった呼吸音(喘鳴)や、呼吸困難を伴う発作などで知られていますが、その中でも、咳が止まらなくなるなどの症状しか出ないものを咳喘息と呼んでいます。もちろん痰が絡むことはありますが、どちらかというと乾いた咳が目立ちます。
激しい発作を起こすようなことはありません。とくにアレルギー体質の女性が患いやすいため、注意が必要です。「慢性咳嗽(長引く咳)」の原因の1つとされ、風邪がきっかけで症状がひどくなることがあります。喫煙、過労、睡眠不足、気温の変化なども引き金になります。
夜寝ている間に咳が出て止まらなくなるため、目が覚めてしまって睡眠不足の悪循環に陥りやすくなっています。約3割の人はそのまま本当の「喘息」へ移行するため、吸入ステロイド薬による予防を兼ねた治療が必要となります。
COPD(慢性閉塞性肺疾患)とは?
大気汚染や、喫煙、受動喫煙などが原因で肺に炎症が起こり、息切れや呼吸困難が見られる病気です。「肺の生活習慣病」と表現されています。とくに朝の寝起きに冷たい空気を吸うことで、咳が止まらなくなったり、痰を伴う特徴があります。40歳以上の喫煙者、とくに男性に多く、禁煙が一番の予防策となります。
咳や痰が止まらない原因はCOPDかも!?
肺結核に要注意!
乾いた咳が2週間以上も続いたり、血痰が見られるようになると「肺結核」の疑いが出て来ます。微熱や胸の痛みを訴えることも多いので、くれぐれも注意して下さい。現在では、抗結核剤などの開発が進み、昔に比べると完治しやすい病気となりました。
ただし、早期治療が大前提で、治療が遅れると「呼吸機能障害」などの後遺症の心配も出て来ます。痰が絡むという人は、常に血が混ざっていないかチェックしておくことをお勧めします。とくに中年男性の喫煙者は肺がんのリスクが高いため、併せて注意しておきましょう。
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