子供の耳の下の腫れや痛みはおたふく風邪の可能性大!
子供の「耳の下の腫れや痛み」は、「流行性耳下腺炎」の典型的な症状です。一般的に「おたふく風邪」と呼ばれるもので、この病気は「ムンプスウイルス」に感染することで発症します。空気感染はありませんが、咳やくしゃみなどによる飛沫感染、または接触感染などにより、主に児童期に発症します。
3~4歳以下の子供には少ないという特徴があり、一度経験すると「終生免疫」によって二度と罹ることはありません。主に冬から春にかけて流行しますので、寒い季節はとくに要注意です。
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目次
耳の下の腫れや痛みの特徴は?
ムンプスウイルスに感染すると、2~3週間の潜伏期間を経て発症します。軽い発熱や食欲不振などを伴い、両側または片側の耳の下の腫れが目立ってきます。耳の下には唾液を作る機能を持つ「唾液腺」があり、これが腫れて痛みを起こします。
耳下腺の腫れは2~3日でピークに達し、通常、発症から7~10日も経てば治ります。ただし、一週間程度でほとんど目立たなくなったり、逆に2週間ほど継続する場合もあるため、多少の個人差はあるようです。
高熱が出ることはまれで、全く発熱を伴わないこともあります。したがって、学校を休んでいる子供は意外と元気なことが多く、家の中にいることに退屈して、安静を保てないこともあります。
また、耳の下の腫れは周囲を圧迫して、物を噛む時や口を開ける時に耳の痛みなどを訴えったり、まれに顎下腺や舌下線が腫れることも考えられます。時間が経てば必ず治る病気ですが、いくつかの合併症を招く危険性だけは把握しておきましょう。
おたふく風邪の合併症
自分の子供が経験したことのない家庭では、おたふく風邪は「ただ顔が腫れて熱が出るだけ」と思われがちです。ご両親も小さい頃に経験されていることが多いため、症状などはあまり記憶にないのかもしれません。そこで、注意したい合併症として「無菌性髄膜炎」「難聴」が起こる可能性も頭に入れておきましょう。
高熱が出た場合は髄膜炎を発症しやすく、頭痛や吐き気に襲われることもあります。10人に1人の割合で起こりますが、適切な治療によって後遺症を残すことは少ないといえます。難聴は数千人に1人程度と少ないですが、こちらは治りにくいため、子供に呼びかけても反応がない場合には、すぐに耳鼻咽喉科を受診させて下さい。
子供だけでなく大人も発症する!
よく「大人になって発症すると、不妊の原因になる」といわれていますが、これは、男性では両側の「睾丸炎」、女性では「卵巣炎」を起こす危険性があるからです。子供では耳の下の腫れが主な症状ですが、大人の場合は髄膜炎を合併する確率が上がり、高熱や激しい腹痛、嘔吐などで苦しんだ末、「不妊症」に繋がることもあります。
また、女性が妊娠初期に発症すると、胎児に奇形を起こすともいわれています。ですから、まず自分が発症した経験があり、終生免疫を持っているかを確認しておくと良いですね。注意点として、耳の下の腫れの原因が、ムンプスウイルス以外のものによる「反復性耳下腺炎」という病気の場合もあるため、混同しやすくなっています。
現在では、流行性耳下腺炎のワクチン予防接種も受けられますが、経験されている人であれば、2回目の発症はありません。
自分の子供が発症したら!?
もし自分の子供が発症してしまったという場合は、医師の診断の上で10日ほど学校を休ませる必要があります。どんなに腫れや痛みが引いたとしても、ウイルスが体内に残っている間は排出する可能性が十分にあり、同級生などに移してしまう危険性が高いからです。
我が子が大丈夫だったからといって、移された同級生が髄膜炎を起こさないとは限らないことを再認識して下さいね。
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