嚥下障害の原因疾患と必要な食事の工夫!重篤な病気も!?
「嚥下障害(えんげしょうがい)」という言葉をご存知でしょうか。簡単にいえば、何らかの原因により、食事の際に食べ物がうまく飲み込めず、胃に円滑に流れて行かない状態のことです。口から摂取した食べ物は、口腔、咽頭、喉頭、食道、噴門などを支配する神経や筋肉の働きによって胃へと送られています。この一連の運動を「嚥下」と呼び、主に高齢者の方は、この流れに障害が起こりやすくなっています。
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加齢による「咀嚼力の衰え」や「唾液の減少」が見られたり、食道の蠕動運動を行う筋肉が弱ってしまうことで、嚥下障害を誘発しやすいのです。とくに、パンやカステラなどの「パサパサしたもの」や、ソーセージなどの「弾力のあるもの」などが食べにくく、むせたり、喉に詰まったような感覚をおぼえることも少なくありません。
ただし、加齢によるものは決して病気ではありませんので、食事に気を遣ったり、ちょっとした工夫をすることで随分改善されるものです。しかし、胃へ到達するまでの経路や、その周辺の組織に重篤な病気が隠れている場合もあるため、嚥下障害をあなどることはできません。
また、日常生活での姿勢の悪さであったり、不摂生が原因となっていることも考えられるため、まず思い当たる節が無いか、チェックしてみて下さい。
目次
嚥下障害で食事がとれない原因は?
食事の際に食べ物が飲み込みにくいだけでなく、「胸焼け」や「胃もたれ」「げっぷ」「呑酸(酸っぱいものがこみ上げてくる)」などの症状があれば、「逆流性食道炎」の疑いが強くなります。本来胃にとどまっているはずの「強酸性の胃液」が逆流を起こし、食道に限らず、喉頭や咽頭にまで炎症を起こすケースもあります。
その結果、「喉のつかえ感、つまり感」などを訴える人も増えており、嚥下障害の原因の1つとなっています。胃と食道の境目にある「下部食道括約筋」の緩みが見られる中年以降に多く、また、脂肪の多い食事を好む人や、肥満や早食い傾向のある人も要注意となっています。
予防法として、「食生活の改善」「脂肪分を控える」「禁煙する」「胃を締め付ける服装を避ける」「食事の後にすぐに横にならない」「猫背にならないように姿勢を正す」など、ちょっとした工夫で改善されることもあります。
胃もたれと胸焼けは機能性胃腸症?
また、脳卒中を起こした後に見られる「摂食障害」は、食事の工夫やリハビリが必要となります。食べ物が気管に入って「気管支炎」や「誤嚥性肺炎」を繰り返すこともあるため、適切なアドバイスのもとで治療に専念することが大切です。
嚥下障害で危険なケース
まず、なんといっても怖いのが「食道がん」です。のどの違和感程度からはじまり、腫瘍が大きくなると食べ物が極めて通りにくくなります。食道には「生理的狭窄部」と呼ばれる、もともと狭くなっている部分が上下3ヶ所存在しており、そこを取り巻くように硬いしこりを作ります。
流動状の食事だけは通過出来ていたものが、経過とともに全く通らなくなることもあります。嚥下障害に関する病気では最も厄介で、とくに飲酒と喫煙を長年嗜んで来た中高年の男性は要注意です。また、「喉頭がん」も心配されます。声帯よりも少し上部にできる「声門上がん」では、のどの違和感や飲み込みにくさが現れやすくなっています。
声帯にできる「声門がん」は声がかすれるなどの症状で自覚することも多いですが、声門上がんは嚥下障害などによって自覚する必要があります。こちらも圧倒的に男性に多く、喫煙者は非喫煙者の約30倍患いやすいとされています。
嚥下障害の方の食事の工夫
基本的に、私たちが普段食べにくいものは食事から外して下さい。例えば、パサパサして口の水分を奪うようなパン・ケーキ類。それからゆで卵も危険ですので、細かく切る必要があるでしょう。フードプロセッサーを使って野菜を細かくしたり、お肉などもできるだけミンチ状にしてあげた方が無難です。
サラサラしたものばかりだと飽きてしまうと思いますので、片栗粉などでとろみを付けた料理や、ゼリー状のものなどは良いかと思います。お豆腐を使った料理などは最適かもしれません。魚肉ソーセージやかまぼこ、ちくわ、こんにゃくなどはみじん切りにするしか他に手が無いようです。
嚥下障害と一口にいっても、もちろん程度に個人差はありますので、食事は様子を見ながら工夫してあげて下さい。
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