顎関節症の原因と治し方・顎の痛みをセルフケアで解消!
「顎関節症」は、顎の関節やその周辺の筋肉に何らかの障害が起こり発症するもので、無意識のうちに「歯を食いしばる」といった癖などが原因となって、食事をしたり、会話をしたり、何もしていなくても痛みなどの症状が現れます。
日本では、全人口の5割以上の人が顎に関する症状を持っていると推定され、とくに女性に多いという傾向があるようです。顎関節症を疑うような症状がある場合、速やかに歯科や口腔外科を受診する必要がありますが、まず、どんな癖が原因となるのか、自分でできる治し方などがあるか、知っておくべき点も多いといえます。
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目次
顎関節症の症状
顎関節症の代表的な症状は下記のようなもので、該当するものが1つでもあれば発症している可能性が高いといえます。左右のどちらか片方に現れることが多いですが、その状態を放置することで両側に症状が及ぶ場合もあります。
・顎を動かすだけで痛む。
・口を開くときにカクカクと音が鳴る。
・口が開きにくい。
・食べ物を噛むことで顎が疲れたり、痛んだりする。
・30分ほど会話を楽しむだけで顎が疲れる。
・ひどい時はじっとしていても歯が痛む。
・側頭部にまで痛みが出てつらいことも。
顎関節症の原因
以前は、「噛み合わせの悪さ」が主な原因であるといわれていました。確かに先天的な「歯並び」が関与していたり、虫歯の治療後に発症するケースは少なくありません。しかし現在では、日常生活の中で無意識のうちに繰り返される「顎に負担のかかる動作」が主な原因ではないかと指摘されています。
例えば「歯の食いしばり」や、食事の際に「片方の奥歯で噛む」といった癖などが顎の関節や周囲の筋肉に悪影響を及ぼしているようです。ただし、こういった癖があっても、すぐに症状が現れるのではなく、精神的なストレスが加わることで発症する可能性が高まる傾向にあるようです。
癖は意識しないと改善することは難しいですし、顎関節症を発症する一歩手前のところにいれば、ストレスによって寝付きが悪くなったり、「就寝中の歯の食いしばり」「歯ぎしり」なども増えて、顎関節や筋肉が次第に悲鳴を挙げることになるようです。朝の起床時に肩こりなどを感じる人は、食いしばりや歯ぎしりをしている可能性があるため、要注意となります。
顎関節症のメカニズム
顎関節症を発症する仕組みには、大きく分けて「関節に異常がある場合」と「筋肉に障害がある場合」の2種類が存在します。
・関節の異常
顎関節には「頭の骨」と「下顎の骨」の境目に、クッションの役割を果たす「関節円板」があり、これが前方にズレを起こすことで、口を開ける際に「カクカク」といった音を生じます。
また、前方にズレを起こした関節円板は、下顎の骨との引っかかりが強くなり、動きが制限されて「口が開かない」という事態に発展します。その他、関節の周囲を取り囲む「滑膜」に障害が及んで炎症を引き起こすと、口を動かすたびに痛みが現れるようになります。
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・筋肉の障害
食べ物を噛んだり、口を開け閉めする際には「咬筋」や「側頭筋」が活躍しますが、咬筋の緊張状態が続くと下顎を吊り上げる力が強くなり過ぎて、結果として顎関節に必要以上の圧力がかかります。すると、前述したように関節円板と下顎の骨の引っかかりが強くなってしまいます。
また、咬筋の緊張は筋肉の中にある血管を圧迫して血流を阻害し、溜まった老廃物を排出できない状態となります。肩こりと同じように老廃物が溜まると痛みを引き起こします。さらに、筋肉の弾力性が失われると口を開けるのも一苦労ということに繋がります。
このように咬筋や側頭筋が異常に発達するような動きをしていると、コリコリとした小さなしこり状のものができることがあり、じっとしていても歯が痛んだり、頭痛を伴ったりする原因となることもあります。
顎関節症の治し方
まず、痛みが強い場合は、何はともあれ口腔外科などを受診して適切な治療を受ける必要があります。同時に、患者さん本人が自分でできるセルフケアが、顎関節症の治し方で最も重要な部分です。
・顎関節症の治し方・咬筋のストレッチ
指3本を縦にして口の中に入れる運動を5秒間行います。これは咬筋を伸ばす効果があり、入浴中に温まった状態で行うのがベストです。ただし、口が開かない場合に無理をしたり、5秒以上行うことは避けて下さい。逆に筋肉がこわばってしまう原因となります。「顎の運動」と「顎に負担をかけること」は紙一重だと認識しておきましょう。
とくに顎関節が炎症を起こしている時は、口を動かすだけで痛みが走ります。硬いものを無理して食べたり、口を大きく開けないように注意し、痛みが治まってからストレッチを行います。
・顎関節症の治し方・悪い癖を取り除く
食いしばりや左右片側だけで噛む癖というのは、ある程度意識しながらでないとなかなか改善することは難しいです。そこで、セルフケアの一環として顎関節に新しい動きを取り入れて、癖を徐々に取り除くことが有効となります。
食いしばりに気づいたら「軽く口を開け閉めする」「舌を上下左右に動かしてみる」「飴やガム(できればシュガーレス)を舌先で転がすように舐める」などがお勧めです。その他、肩を上下させることも癖を中断させる効果があります。このような動作を常に意識するようになれば、悪い癖を中断させるだけでなく、次第に取り除くことができます。
顎関節症は「顎に負担のかかる癖」と「ストレス」が重なることで発症するといっても過言ではありませんので、意識付けとリラックス法を併用することで改善されるケースが多いのです。それでも寝ている時の歯ぎしりなどがひどい場合は、医師にマウスピースを作って頂くことをお勧めします。
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