妊娠糖尿病の血糖値とインスリンが効かなくなる理由とは?
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そもそも糖尿病とは、「膵臓のランゲルハンス島」から分泌される「インスリン」というホルモンが出なくなったり、働きが悪くなったりすることで発症します。しかし、妊娠中はホルモン分泌に変化が起こり、胎盤からも様々なホルモンが分泌され、それらがインスリンの作用に拮抗して血糖値が下がらない状態に陥ります。この状態が病的に継続すると「妊娠糖尿病」と診断されます。
目次
妊娠糖尿病の原因は母体の糖代謝の変化にある!
妊娠末期になると、お腹の胎児は1日に30gという大量のブドウ糖を必要としますが、これはもちろん母体から供給されるため、母親の糖代謝は大きな変化を余儀なくされます。そのため、胎盤から「ヒト胎盤ラクトゲン」というホルモンが分泌され、脂肪細胞に働きかけて脂肪を分解して母体のエネルギー源とします。
人間は通常、ブドウ糖をエネルギー源とすることがほとんどですが、妊娠後期になると母親は体内に蓄積されたブドウ糖を使用することはなく、胎児への供給に使ってしまいます。ですから、母親はしっかり糖質を摂り、血糖値を上げていますが、自らの筋肉や臓器で使用することができません。これが、妊娠糖尿病になりやすいメカニズムです。
妊娠時は通常より食後の血糖値の上昇が速く、しかも極端に高くなるという特徴があります。それにより、インスリンの分泌も3~5倍以上に増えますが、血糖値が下がらないということは、糖代謝の変化によってインスリンの働きが悪くなっている証拠です。そして、ブドウ糖を胎児への供給に回していることもあり、空腹時は極端に血糖値が低くなってしまいます。
尿糖が出ても妊娠糖尿病とは限らない!
妊娠糖尿病も、初期の自覚症状はほとんどありません。該当月数に対し、胎児の発育が進んで大きかったり、母親が異常なのどの渇きを訴えたりすることで異変を察することもありますが、妊婦検診の尿検査で発覚することがほとんどです。
ただし、尿に糖が混じるケースは妊娠糖尿病以外でも起こり得ることで、約3割の女性が経験するといわれています。妊娠の影響で起こる「妊娠性腎性尿糖」は、腎臓から糖が漏れやすい状態を意味しますが、心配する必要はありません。その成分のほとんどが母乳に含まれる乳糖とされ、血糖値の上昇にも影響しません。
しかし、妊娠以前から糖尿病を患っている「糖尿病合併妊娠」の人は、血糖値のコントロールをしないと重症化して、網膜症、腎症、神経障害などの危険性が高まります。妊娠糖尿病になる女性は、もともとインスリンの分泌やその働きが弱い素質を持った人が、妊娠したことをきっかけに糖代謝が変化して発症するもので、基本的に糖尿病合併妊娠とは性質が異なるものです。
妊娠糖尿病の血糖値の基準
もし妊婦検査で尿に糖が出ていた場合、「ブドウ糖負荷試験」を行い、その結果によって診断が下ります。75gのブドウ糖溶液を飲んで、1時間後と2時間後の血糖値の上昇を見る検査で、基準となる数値は以下の通りです。
この値を超えていれば妊娠糖尿病となりますが、その際、インスリンの分泌がどうなっているかを同時に調べることで、確定診断に役立ちます。食後、血糖値は当然上がりますが、すぐにエネルギーとして利用されたり、インスリンの作用で体内の貯蔵物に変化しますので、健康体であれば2時間後には数値が下がっているはずです。
糖質を控えることが一番の予防法
妊娠糖尿病は、母体よりも胎児への影響が大きく、4kg以上の巨大児になって難産になったり、「心臓の血管異常」や「重度の新生児黄疸」が現れることもあります。生まれた後に肥満児になることも多いといわれています。したがって、バランスの取れた食事を心がけたり、糖質の過剰摂取を防ぐことが必要です。
この病気には発症しやすいタイプの人がいることは事実で、例えば、「両親が糖尿病を患っている」「肥満の女性」「巨大児や奇形児出産」「原因不明の死産」「新生児死亡」などの経験がある人です。また、妊婦の摂取カロリーの目安は下記の通りです。
・妊娠前半期:1950kcal
・妊娠後半期:2150kcal
・産後授乳期:2500kcal
産後の授乳期にはかなりの摂取カロリーが必要とされますが、この時期にストレスがたまると、それ以上の過食に走ってしまう場合があります。今では「育メン」などの言葉も定着していますので、育児、家事においても、夫にサポートしてもらうことも必要ですね。
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