産後にだるい・疲れやすい・無気力などを感じる原因と対策!
産後の女性が最初に感じる不調に「だるい」「疲れやすい」といった肉体的不具合が挙げられます。それもそのはず…。お産は女性にとっての一大イベントです。妊娠・出産を終えた直後のママは、肉体的にも精神的にも人生で最も疲弊している状態です。
しかし、現在は母子同室が主流となっており、休む間もなく授乳が始まり、疲れを溜めたまま退院の日を迎えます。さらに、退院後はママとして過酷な日々が続きます。1日24時間、待ったなしの赤ちゃんのお世話に明け暮れることになるからです。
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特に疲れるようなことをしていなくても、産後3か月くらいまでは体がだるい、疲れやすいと感じることも増え、多くの女性が「いつも横になっていたかった」と振り返ります。しかし、これは慣れない育児によるものと思われがちですが、決してそれだけが理由ではないことを理解しておく必要があります。
目次
産後にだるい・疲れやすいと感じる本当の原因は?
赤ちゃんのお世話に加え、同時に家事もこなす必要もある…。そんな忙しく過酷な日々が続きますが、様々な不調の原因は、妊娠・出産により女性ホルモンの分泌量が激変したことが大きく関与しています。通常、この分泌量が妊娠前の状態に戻るまで3か月程度を要します。
また、母乳育児のママの場合、授乳期間中はしばらく女性ホルモンの分泌低下が続くことになります。しばらくすると母体が回復してきますが、それまでに無理をしてしまうと女性ホルモンの調子がなかなか元に戻らなくなり、それが原因で月経の再開が遅れたり、腰痛が残るなど、体に生じる不具合を引きずることも珍しくありません。
体がだるかったり、疲れがなかなか抜けなかったりするだけならまだしも、「いつも眠い」「気分が塞ぎ込む」「赤ちゃんがかわいいと思えなくなる」「思うように育児ができずにつらくなる」「無気力」などの変調が現れ出すと、マタニティーブルーを通り越して、「産後うつ」へ移行している可能性も否定できなくなります。
産後の情緒不安定・マタニティーブルーの対策!
産後の異変は甲状腺の病気が原因かも!
女性に多く、特に産後に起こったり、悪化しやすい病気に「自己免疫疾患」があります。「免疫」とは本来、外部から侵入する細菌やウイルス、体内に発生するがん細胞などを異物とみなし、攻撃・排除するための自己防衛システムのことです。
妊娠中は、お腹の胎児を異物として排除することのないよう免疫の形を変化させているため、産後になると自己免疫に異変が現れやすく、その代表的なものに「甲状腺疾患」が挙げられます。甲状腺は、喉仏のすぐ下にあり、代謝を促す甲状腺ホルモンを分泌する小さな器官です。
「活気のホルモン」と呼ばれるように、過剰分泌が起こると「怒りっぽい」「イライラが募る」「心臓がドキドキする」「食欲旺盛なのに痩せる」などの症状が現れ、「バセドウ病」に代表されるような「甲状腺機能亢進症」となります。
逆に、分泌が不足するようになると、「皮膚の乾燥」「寒がりになる」「体がだるい」「疲れやすい」といった症状が現れ、「橋本病(慢性甲状腺炎)」に代表される「甲状腺機能低下症」に陥ります。いずれも、検査をしないと気付かないことが多い病気です。
産後の場合、女性ホルモンとともに免疫のバランスも急激に崩れることが原因で、一時的なものとして心身の不調が現れることが多く、しばしば「育児ノイローゼ」「産後の肥立ちが悪い」といった形で捉えられることもあります。ただし、一過性で治まらず、甲状腺機能低下症などが続く人もいますので、警戒すべき病気です。
産後にだるい・疲れやすいと感じる時の対策は?
まず、お産を終えたらできるだけ家族の協力を得られるような環境作りが必要です。「パパは育児の協力者」という考えも捨てて下さい。パパは育児の「当事者」です。ママが疲れて果てて倒れてしまっては、赤ちゃんのお世話もできなくなります。家事を含め、何もかも女性が一人で行うのは無理があります。
退院後3週間目になると、体調も随分回復してきます。家事も無理のない範囲でこなせるようになりますし、短時間であれば外出することも可能です。散歩に出かけたり、近くのお店に買い物にも行けるようになります。それ以降になると、たまには息抜きに友人と映画に行ったり、趣味などに時間を使うこともできるでしょう。
そのためにも、家族や周囲の人を上手に巻き込んだり、必要に応じて産褥ヘルパーや家事代行サービスなども利用して下さい。子育て支援サービスも各自治体で用意されていますので、問い合わせてみて下さい。また、先輩ママのアドバイスは何よりの励みになるはずですので、親友をはじめ相談できる人を探しましょう。
体のだるさや疲れに関しては、日常生活に支障を来すようであれば専門医に相談すべきです。「女性ホルモンの激変なら我慢するしかない」と考えがちですが、産婦人科や女性外来に行けば、不調を和らげる薬を処方してもらえます。どうしようもないほど眠かったリ、無気力などを感じたりした場合も、迷わず受診することが大切です。
その他、「子宮復古不全」「悪露(血液混じりのおりもの)」「産褥熱」「妊娠高血圧症候群」「貧血」「乳腺炎」「頻尿」「尿漏れ」「恥骨痛」「抜け毛」「腰痛」など、産後には様々な不具合が生じることもあります。育児ばかりに目を向けて、自分の体のことを後回しにしないようご注意下さい。
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