膝の痛みや腫れ、違和感の原因!曲げ伸ばしが難しくなったら?
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とくに筋肉が衰える中高年の女性に多いという特徴があり、放置しておくと普通に歩けなくなったり、膝の曲げ伸ばしが難しくなったり、寝たきりになる危険性もあります。また、スポーツや仕事中に靭帯や半月板を損傷した経験のある方も注意が必要です。そこで、膝関節のメカニズムとともに、様々な原因と改善策をご紹介します。
目次
膝関節の仕組みとは?
膝関節の仕組みを簡単に説明すると、太もも側の「大腿骨(だいたいこつ)」と、すね側の「脛骨(けいこつ)」、お皿と呼ばれる「膝蓋骨(しつがいこつ)」から成り立っており、人体の中で一番大きな関節です。
また、脛骨のすぐ外側には「腓骨(ひこつ)」があり、これらの骨は「前十字靭帯」「後十字靭帯」などの4つの靭帯で結ばれ、安定が保たれています。膝関節自体は「関節包」と呼ばれる組織に包まれ、その内側に「滑膜」が存在し、この膜が分泌する潤滑油のような役割を果たす「関節液」で満たされています。
もちろん、骨には神経が通っていますので、大腿骨と脛骨が直接ぶつかり合うことは通常ありません。この両者の骨の先には「関節軟骨」と呼ばれるツルツルとしてクッション性のある組織が存在し、骨と骨が直接ぶつかるのを回避できています。当然、膝蓋骨の裏側にも関節軟骨が存在します。
さらに関節軟骨同士の間には、クッション性の高い左右2つの「半月板」も存在しますので、多少の衝撃は簡単に吸収してしまいます。ただし、半月板や靭帯の損傷などが原因となり、関節軟骨が擦り減ってしまうこともあります。
これがきっかけとなり、膝の痛みや腫れ、違和感などを感じるようになり、結果的に上手く曲げ伸ばしができなくなるのが変形性膝関節症です。
膝の痛みや腫れ、違和感の原因とは?
もともと関節軟骨には神経が存在していませんので、大腿骨側と脛骨側が擦れ合っても違和感や痛みを感じることはありません。しかし、骨や滑膜、関節包などの周囲の組織には神経が通っていますので、何らかの原因でダメージを受けると痛みを感じるようになります。
加齢、スポーツでの酷使、怪我などで半月板が損傷したり、関節軟骨が擦り減ってくると、大腿骨と脛骨の隙間(関節裂隙)はどんどん狭くなり、次第に内側の「軟骨下骨」同士が直接ぶつかり合うようになります。それが刺激となって関節面の骨が硬くなる「骨硬化」が起こります。
さらに、骨のヘリに「骨棘(こっきょう)」というトゲのような突起ができたり、関節軟骨のかけらができることで、これらが滑膜を刺激して「炎症性サイトカイン」を産生します。こうして滑膜に炎症が起こると、関節液の分泌量が増えて膝の腫れも目立ってきます。
そもそも滑膜は関節液を分泌すると同時に、古い関節液を吸収しながらバランスを保っていますが、それが難しくなるため、「膝に水が溜まる」といった状態になるのです。もちろん膝関節のクッション性も失われるため、曲げ伸ばしはさらに難しくなるでしょう。
変形性膝関節症になりやすい人
人間の膝にかかる荷重は、普通に歩いている時に体重の約2~3倍、階段の昇り降りでは約7倍といわれ、激しいスポーツなどの場合、計り知ることができないくらいです。靭帯や半月板、関節軟骨がなければ、それらの動きに耐えることはできません。
しかし、特に激しい運動をしていなくても、膝の痛みや腫れが現れたり、違和感を感じて曲げ伸ばしが上手くできなくなる人もいます。下記のような原因が考えられますが、該当していないかチェックして下さいね。
・女性全般
女性は男性に比べ、太ももの筋力が弱く、肥満も起こりやすくなっています。また、女性ホルモンの影響で骨自体が弱いのではないかと考えられています。とくに40代以上からは要注意です。
・高齢者
年齢が増えるほど膝に負担をかけてきた期間も長くなるため、致し方ない部分でもあります。
・肥満
体重の重くなれば、当然膝への負担も大きくなります。変形性膝関節症の危険因子なので、食事制限や運動も必要かもしれません。
・妊娠中と出産後
一時的に体重が増加したり、出産後に上手く減量できないことが原因のようです。
・O脚
膝の内側にどうしても負担がかかりやすく、関節軟骨が擦り減りやすくなります。
・X脚
逆に、膝の外側に負担がかかります。O脚とともに半月板も傷めやすいため、何らかの改善策が必要です。
・遺伝
実は、変形性膝関節症の発症には遺伝が関与していると考えられています。「両親や家族に罹っている人がいないか」というのも注目すべきポイントです。
・へバーデン結節
40~50代女性に多く見られる、指の変形性関節症です。手指の第一関節が節くれ立つという特徴があり、膝にも同じような関節症が現れやすいとされています。
指の関節が腫れて痛くなるへバーデン結節とは?
・重い荷物を持つ仕事
筋肉や骨、関節などにかかる負担を「メカニカルストレス」と呼びますが、重い荷物を運ぶ職業の方や膝の曲げ伸ばしを繰り返す農家の方も、膝へのストレスが非常に多く、発症しやすいといわれています。
膝の痛み、腫れ、違和感の治療法は?
はじめのうちは動きはじめに痛みが出たり、立ったり座ったりする時に違和感を感じる程度ですが、最終的には安静時にも辛い症状が出てきます。残念ながら一度擦り減った関節軟骨を元に戻すことはできませんが、そのまま放置しておくと段々歩くことが億劫になり、運動不足によって体重が増え、筋力は衰える一方になります。
その状態で歩けばさらに辛い思いをするため、動かさないようにするという悪循環に陥り、最終的には寝たきりになる高齢者の方も多いです。したがって、その悪循環を断つため、医療機関での「薬物療法」「温熱療法」に加え、医師の指導の下「運動療法」を行うなどの保存的療法が必要になります。
症状がひどい時は、まず痛みを緩和し、それから膝の機能を回復させる治療をはじめます。腫れがある方は「関節穿刺排液」といって、溜まった水を注射器で抜くこともありますが、余計に関節液の分泌を促す危険性や、細菌感染による「化膿性関節炎」のリスクもあるため、検査のためのみに行うべきという慎重な考え方もあります。
また、薬物療法では、外用薬、内服薬、座薬で症状を緩和したり、関節液と同じ成分でできているヒアルロン酸などの関節内注射も行われています。その他、運動療法とともに必要とされるのが「装具療法」です。サポーターや足底板などを装着すると脚を動かしやすくなります。
手術療法では、関節軟骨の破片を取り出すなどいくつか選択肢がありますが、最終的には人工関節に切り替える方法もあります。
近年、O脚やX脚なども足底板で治療可能とされ、靴の中敷きに取り入れている人も多いといわれています。矯正することで膝の痛みや曲げ伸ばしも楽になるため、自分にフィットしたものを作ってもらうことも大切です。同時に肥満も解消しておきたいですね。
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