体の至る所に起こる様々な症状についてわかりやすく説明します。

左上腹部痛の原因は急性膵炎という病気の疑いも!?

左上腹部痛の原因は急性膵炎という病気の疑いも!?急激に襲ってくる左上腹部痛の原因として「急性膵炎」という病気の疑いがあります。これは、様々な消化酵素を分泌する膵臓が、自らが分泌した膵液によって「自己消化」を起こし、炎症が進むことでその細胞が破壊される病気です。元々膵臓は、三大栄養素(炭水化物、タンパク質、脂質)などの消化に必要な酵素を分泌し、それらを含む膵液を十二指腸へ送る役割を持つ臓器です。そのうち、タンパク質消化酵素の「トリプシノーゲン」や「キモトリプシノーゲン」などの物質は、膵臓自らを消化してしまわないよう、膵臓にあるうちは「不活性化」されたものです。十二指腸に入り、腸から分泌される「エンテロキナーゼ」という酵素の作用によって、はじめて消化酵素としての役割を果たす「トリプシン」「キモトリプシン」に変化します。しかし、何らかの原因で膵臓内で活性化されると、人間の臓器はタンパク質によって作られているため、膵臓自身を消化して炎症を引き起こします。

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目次

左上腹部痛をはじめ様々な症状が!

急性膵炎では、ほとんどの人が激しい腹痛を訴えますが、軽いケースでは、鈍痛程度から数時間以内に痛みが消失する場合もあるようです。痛む場所としては、へその上からみぞおち(心窩部)付近の痛みで、一概には言えませんが、どちらかというと右より左上腹部痛となって現れやすいです。肝臓、胆のう、胆管などのトラブルは体の右側、膵臓や脾臓のトラブルは体の左側に症状が出やすいと覚えておくと良いかと思います。急性膵炎によって激痛が襲ってくると、横になっても痛みは軽減されず、エビのように体を丸める姿勢をとるのも特徴的です。また、膵臓は胃の後ろ(背中側)に位置するため、背中や左の肩への放散痛が現れます。さらに他の臓器へ影響を及ぼすことも珍しくなく、吐き気、嘔吐、腹部膨満感、軟便、食欲不振、発熱、悪寒なども多く見られます。激しい左上腹部痛をはじめ、これらの症状が自然に治まることはまず有り得ませんので、早急に医療機関を受診する必要があります。

 

さらに重症化すると?

急性膵炎では、左上腹部痛などに限られる症状であれば軽症として扱われ、適切な内科的治療を受けることで完治します。その一方で、重症化すると致命的な合併症を引き起こし、死に至るケースも決して少なくありません。タンパク質消化酵素がどんどん活性化して膵臓の細胞を壊死させると、腹腔内に漏れ出し、消化酵素を多量に含んだ腹水がたまって他の組織へ炎症が広がって行きます。また、膵臓から他の臓器を障害する化学物質も血液中に放れることで、心臓や肺、肝臓、脳にまで悪影響を及ぼします。血圧が低下すると灰にダメージを与えて呼吸困難に陥ったり、壊死した膵臓の細胞に細菌による感染症が起こり、ひどい高熱が出てきます。血液中に細菌が入り込めば「敗血症」となりますし、めまい、冷や汗、皮下出血、尿量の減少などの他、脳にも異常を来し、意識障害などの神経症状まで現れます。命が危うくなるのは言うまでもありません。

 

男性ではアルコール、女性では胆石が原因のトップ

急性膵炎を引き起こす原因としては、男性の場合、お酒の飲みすぎによるものが1位で、2位が胆石、3位が原因不明とされています。10年以上飲み続けている人が一度に大量のアルコールを摂取することで発症する危険性が高くなります。飲酒によって膵液の分泌量が多くなると、「十二指腸乳頭部」という膵液の出口の調節機能に異常が出て、膵液が上手く流れて行かないことが原因とされています。行き場を失った膵液は膵管の内圧を上昇させ、これが急激な左上腹部痛を引き起こし、さらに膵管を破って膵臓内に溢れ出ると、自己消化が始まります。また、女性の場合の原因としては、胆石が1位、2位が原因不明、3位がアルコールとなっています。胆汁が流れる総胆管は膵臓の中を通り、十二指腸乳頭部で膵管と合流して十二指腸へ流れるため、ここに胆石が詰まって急性膵炎に発展するケースが多くなります。もし左上腹部痛が軽い場合でも、食後に激痛に変化することが非常に多いため、早めに医師に相談するべきです。

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