甲状腺の腫れの原因は5種類の悪性腫瘍(がん)も!?
甲状腺の腫れの原因として、5つの悪性腫瘍を考慮しておく必要があります。バセドウ病や橋本病のような「ホルモン機能の異常」が原因で現れる腫瘍は、「びまん性甲状腺腫」と呼ばれ、甲状腺がそのままの形で大きく腫れて行き、首が太くなった印象を受けることも多くなります。
それとは異なり、甲状腺にしこり(結節)ができて一部のみが腫れる状態を「結節性甲状腺腫」と呼び、機能亢進や低下などの異常は見られず、体調にもとくに変化が現れないタイプの腫瘍もあります。このタイプの場合もほとんどが良性とされていますが、中には悪性のものが存在し、一般的に「悪性腫瘍(がん)」と呼ばれています。
若年層から高齢者に至るまで各年齢層で発症するるものですが、男女比1対6と圧倒的に女性に多いという特徴があります。これといった初期症状はありませんが、腫れがある程度の大きさになると外から見てもわかるようになるため、その原因の1つにがんが含まれていることを認識し、早期発見につなげる努力も必要です。
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目次
甲状腺がんは5種類
甲状腺にできる腫瘍の内、悪性は5%程しかなく、比較的大人しいガンがほとんどです。予後もかなり良好ですが、ごくまれに極めて悪性度の高いものがあるため、専門医による詳しい鑑別が必要です。
また、一般的に良性の場合、腫れに触れると表面がツルツルしていて柔らかく、多少クリクリと動きますが、悪性の場合、腫れが硬く表面が凸凹しており、周囲の組織との癒着が原因でほとんど動かないという特徴もあります。がんのタイプについては下記の5種類です。
・乳頭がん
悪性腫瘍のうち、日本人の約85%が乳頭がんとされ、30歳を超えた辺りから多くなります。非常に進行が遅く、甲状腺の腫れ自体が何年も変化しないことも珍しくありません。周囲リンパ節の腫れの原因を調べるうちに、はじめてがんに気づくこともあります。適切なタイミングで手術をすれば生存率は95%ですが、ある時期を境に急速に進行することもあるため、決して油断することはできません。
・濾胞(ろほう)がん
こちらも首に腫れがあるだけのことが多い、大人しいタイプのがんです。30~40歳に多く、良性との区別が付きにくいという特徴がありますが、肺や骨へなど離れた場所に転移するため、要注意となります。
・髄様がん
甲状腺ホルモンを作る濾胞細胞ではなく、血液中のカルシウム濃度を下げるカルシトニンというホルモンを作るC細胞ががん化するものです。家族性の遺伝が原因となって発症しますが、このがんは1%程度しかない、まれなタイプです。
・未分化がん
他の腫瘍と全く性質が異なり、あらゆるがんの中で最も進行が速く、タチが悪いとされています。長年存在していた濾胞・髄様がんからの突然の転化もあり得ます。若い人にはまず見られず、高齢者に多い特徴があります。どんなに治療しても1年以内に命を落とすケースがほとんどです。
・悪性リンパ腫
橋本病がある人は、本来リンパ組織に発症する悪性リンパ腫が甲状腺にできることがあります。腫れが急速に大きくなる特徴があり、それが原因で気管を圧迫して窒息する可能性があります。早期に治療を開始できれば、予後は良好とされています。
甲状腺の病気は、良性のものを含め女性が患うことが多いので、常に喉仏の下辺りに腫れがないか、鏡でチェックする習慣づけも必要かもしれません。
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