幻視が見られる病気にレビー小体型認知症があります!
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目次
幻視から妄想へ発展!
初期のレビー小体型認知症では、「物忘れが激しい」などの認知機能の低下はあまり目立つことはなく、病気がある程度進行してから現れて来ることになります。この型の場合、「レム睡眠行動障害」といって、夜間の就寝中に突然叫んだり、暴れたりすることがあります。眠りが浅いときに「仕事上の部下がミスを犯した夢」などを見て、いきなり怒鳴り出すという「せん妄」に近い症状が見られます。ただ、レム睡眠行動障害の場合、目が覚めたあとでも夢の内容をしっかり記憶している場合がほとんどで、覚醒に近い状態のときに起こっている証拠でもあります。また、幻視や錯視(見間違い)があれば、周囲の人間はそれを強く否定したりしますが、本人の思い込みに一層拍車をかけてしまうこともあり、次第に訂正できないほどの妄想に発展する可能性が高いとされています。アルツハイマー型にも見られる「被害妄想」や「嫉妬妄想」へ繋がる場合が多いのです。
幻視はあるが、しっかりしていることも!
幻視があれば、周囲の人間は「少し変だ」と思い始めるはずですが、レビー小体型認知症のもう1つの特徴として「認知障害の変動」があるため、つい見逃してしまうことも多くなります。これは、病状が進んでから現れる認知障害にムラがあり、波を打つように現れることが原因となっているようです。周囲がおかしいと感じていても、次の日の受け答えなどがしっかりしていることも珍しくありませんので、「年齢のせいだ」と思い直すケースが多いのです。また、この型の場合、認知障害の前にうつ状態に陥ることもあり、抗うつ薬などを中心にした薬物療法が効果を示さないため、「難治性うつ病」と誤診されることも目立ちます。幻視や錯視、レム睡眠障害、妄想はもちろん、老年期のうつ病の診断も非常に難しいものです。なんとなく体調が優れない自律神経症状を伴いやすいことも認識しておきましょう。
レビー小体型認知症とパーキンソン症状
この病気の大元となるのは、「レビー小体」という、特殊なタンパク質が固まってできた円形の物質が、脳の神経細胞の中に発生することにあります。「α-シクレイン」というタンパク質を中心に集まることがわかっていますが、その原因は解明されていません。このレビー小体ができた神経細胞は変性し、死滅して行くことで様々な症状が現れます。つまり、これはパーキンソン病とほぼ同じ原因で発症しているのです。脳の脳幹という部分に多く生じる場合はパーキンソン病、大脳皮質に多く生じる場合はレビー小体型認知症と区別されていますが、いずれにしても神経細胞は全身に広がっていますので、「パーキンソン症状」と呼ばれる手足のふるえ、緩慢な動作、歩行障害、立ち直り反転障害などの運動機能の低下が両者に見られます。幻視などが見られる前にパーキンソン病と診断を受ける人も多く、日本にはレビー小体型認知症患者がおよそ100万人いるのではないかと考えられています。「認知症=アルツハイマー病」ではなく、「パーキンソン症状=パーキンソン病」でないことも知っておきたいですね。
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