体の至る所に起こる様々な症状についてわかりやすく説明します。

お腹の張りの原因は進行した卵巣がんの疑いも!?

お腹の張り 原因

お腹の張りの原因は進行した卵巣がんの疑いも!?お腹の張りでお悩みの女性の場合、その原因が「卵巣がん」という場合も考えられます。一般的には自覚症状がほとんどない病気とされているため「サイレント・キラー(沈黙の殺人者)」などと呼ばれていますが、気がついた時には既に進行がんへ移行している例が少なくありません。人によっては上・下腹部に原因不明の身体的症状が現れたり、消えたりする「不定愁訴」を伴う場合もありますが、お腹の張りや重いといった感覚は、単なる便秘などが原因となっている場合もあるため、ほとんど見過ごされてしまいがちです。この時点で卵巣がんを疑って婦人科を受診する人はほとんどいないと思われます。

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もともと卵巣は2つありますので、片方にがんを発症しても、もう一方の卵巣が影響を受けることはまずありません。よって、正常な機能は保たれているため、なかなか病気の存在に気づかせてくれません。子宮に関する疾患では、月経異常や不正出血などをきっかけに、何らかの異常を疑うことも多いですが、卵巣の場合は発見が遅れてしまうことが目立っているようです。現在では、婦人科検診を受ける際に「経膣超音波法」によってⅠ期の卵巣がんの発見も可能とされています。女性の場合はとくに骨盤内臓器の疾患が多いため、単なるお腹の張りと考えず、常に頭の片隅に病気の存在を想定しておくことも大切ですね。

 

目次

お腹の張りは太ったと思いがち!

卵巣がんが次第に大きく成長すると、下腹部にしこりの存在を感じたり、お腹が膨れた感じ(腹部膨満感)を自覚するようになります。ただし、しこりを見逃してしまうと、卵巣が腫れて肥大していることに気づかないことも意外と多いとされています。「最近太ったため、スカートのウエストがきつくなった」と感じる人も珍しくありません。その原因が卵巣が腫れているだけならまだしも、がん細胞が腹腔にばらまかれる形になる「腹膜播種」を起こし、お腹に腹水がたまってしまっている場合もあります。とくに食生活において変化がないという方は、急に太ったり、お腹の張りが気になるようなことはないと思いますので、異変を見逃さいようにして下さい。

女性の下腹部痛は良性の卵巣腫瘍かも?
 

一口に卵巣がんと言っても様々なタイプがありますが、「漿液性」「移行上皮」と呼ばれるものは腹水がたまりやすいとされています。病巣がさらに大きく成長すると、腹部膨満感が一層強くなり、あお向けに寝ることも難しいくらい、お腹が苦しくなってなってきます。異常なお腹の張りと下腹部のしこりが原因で、婦人科を受診する人も多いですが、そうなる前に定期的検診を受けておくのが自分の命を守る上で最も大切なことだと思います。
 

卵巣がんの種類

卵巣にできる腫瘍は、その発生する場所によって4タイプ存在します。ただし、それぞれに「良性」「境界悪性」「悪性」と呼ばれる性質の違いが見られ、境界悪性も「大人しいがん」ということを踏まえると、気をつけるべき卵巣がんの種類も豊富になってきます。お腹の張りが原因で病気が発覚した際は、「どのタイプ」「どの性質」かで治療法も異なってきます。そこでタイプ別の特徴を認識しておきましょう。
 
【卵巣腫瘍のタイプ】

・表層上皮性・間質性腫瘍
卵巣の表面を覆う一層の上皮にできる腫瘍と、そのすぐ内側にある「皮質と卵胞の間にある結合組織」にできる腫瘍です。最も多いタイプと言われ、約65~70%を占めています。
 
・性索間質性腫瘍
卵胞内の顆粒膜、もしくは排卵によってできる黄体に発生します。全体の5~10%程度でホルモンを産生しているものです。
 
・胚細胞腫瘍
卵胞の中にある胚細胞(生殖細胞)から発生するもので、約15~20%程の腫瘍です。比較的若い世代では、しばしば悪性の場合が見られます。
 
・その他
他の臓器がんなどが転移してきたものや、発生した場所が不明とされるものです。
 
 
悪性と呼ばれるものの約90%程度は表層上皮性・間質性腫瘍とされ、単に「悪性」と言っても、いくつかの組織型によって区別されています。進行速度や転移様式などの性質もそうですが、薬物療法への反応や放射線感受性なども異なるため、卵巣がんが発覚した際は組織型の判別が最も重要視されています。

 
【卵巣がんの組織型】

・漿液性腺がん
卵巣がんのほぼ半数を占め、最も多いものです。30代半ば~60代にも多く見られ、進行速度が最も速い特徴を持っています。リンパ節に転移しやすいのが厄介です。腹水によるお腹の張りが目立ちます。
 
・移行上皮がん
10%未満と少ないですが、年齢層や性質に関しても漿液性と非常に酷似しており、腹水によるお腹の張りで病気を発覚することもあります。
 
・類内膜がん
こちらも10%程度ですが、年齢層は少し下がって20~40代に多く見られます。両方の卵巣に発生するケースもあり、子宮内膜症の1つであるチョコレート嚢胞から発生しやすいものです。
 
・明細胞がん
卵巣にできる子宮内膜症から発生するタイプで、日本人女性に急増しています。全体の30%近くを占めており、リンパ節転移を起こしやすいのも特徴です。血栓症などのリスクも高く、治療を施しても予後が悪いという性質を持つものです。
 
・粘液性腺がん
全体の10~20%を占めていますが、他の臓器がんによる転移が多く含まれていると推定されます。進行速度は遅いですが、化学療法に感受性がないもので、手術で全て摘出できるかが鍵となります。
 
・混在型
上記5つを混合しているもので5~10%程度に見られます。性質の悪いものものまで混合しているため、お腹の張りを訴えることもあります。化学療法や手術なども慎重に進める必要があります。
 
 
卵巣腫瘍は良性や境界悪性、悪性にかかわらず、自覚しにくいのが難点です。お腹の張りの原因がわからなかったり、太ったと感じたり、それによって腹部が苦しくなってきたら、迷わず婦人科を受診して下さい。

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