ピロリ菌と胃潰瘍の関係・除菌治療も視野に入れて!
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この菌の多くが、胃の出口である「幽門(ピロラス部位)」で発見されたことから「ヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)」と名付けられています。では、この菌が胃潰瘍を起こすメカニズムを紐解いてみましょう。
目次
ピロリ菌の感染ルートは?
胃に棲み着いた「ピロリ菌」の一部は、十二指腸へ流れ出て、最終的に便に混じって排泄されることがあります。何らかの手違いにより、これが混ざった水を飲んでしまうと感染してしまいます。日本では、戦前・戦後に生まれた60代以上の人に感染者が多く、当時の衛生状態が大きく関与していたことは間違いありません。
現在では、感染するのは通常、免疫力の低い子どもに限られ、衛生状態の良くなった30歳以下の若い世代での感染率は低くなっています。しかし、若い女性に増え始めたという「鳥肌胃炎」をはじめ、胃潰瘍や胃ガンとの関係もささやかれ、ピロリ菌によって胃の粘膜に作られる炎症が原因で、様々な胃の病気を引き起こすものと考えられています。
とくにスキルス胃ガンなどは進行スピードが異常に速いため、気を付けなければいけません。
ピロリ菌感染から胃潰瘍へ!
強酸性の胃液の中で、ピロリ菌はどうして生き続けることが出来るのでしょうか?実は、ピロリ菌は胃の粘膜を覆う粘液の中に隠れており、自らが胃液によって消化されるのを逃れているようです。また、自らアルカリ性のアンモニアを分泌することで、酸を中和することに成功しており、このアンモニアが胃の粘膜に悪影響をもたらすといわれています。
さらに、ピロリ菌は強い毒素を放出することも知られており、これに白血球が集まってきて炎症を起こし、胃の粘膜を徐々に傷つけ、慢性的な胃炎を起こす原因となっています。慢性胃炎が長期化すると、胃の粘膜が次第に収縮して薄くなる「萎縮性胃炎」へ移行します。
これは胃の内部で起こる「肌荒れ」のようなものですが、傷ついた部分の粘膜を修復する力が弱くなることが問題です。このまま放置されると組織が破壊されてえぐられた状態となり、胃潰瘍へ移行したことを意味します。
胃潰瘍の原因はピロリ菌とストレス!
ピロリ菌に感染していれば、萎縮性胃炎は誰にでも起こるもので、胃潰瘍の場合でも約8割が感染者といわれています。しかし、感染者が誰でも胃潰瘍を発症するのではなく、感染者の2%程度しか発症していません。
さらに、ピロリ菌には「強い毒を放出するタイプ」と「そうではないタイプ」に別れることも指摘されています。したがって、胃潰瘍の発症は、感染を重視するというより、ストレスなどの環境要因が大きく関与していることに注目が集まっています。精神的、肉体的なストレスが最も大きな問題で、そこにもし感染があれば、発症しやすくなると考えられています。
胃潰瘍を起こす環境要因は多い!
環境要因を1つずつ改善していくと、たとえピロリ菌感染があっても、発症のリスクを大きく下げることが可能です。まず、ストレスは自律神経に悪影響を及ぼし、胃酸の過剰分泌を促したり、粘膜を保護するための粘液の分泌を低下させてしまいます。その結果として、胃粘膜の血流が悪くなったり、胃酸によって傷つきやすく修復も追いつかない状態に陥ったりすることが予想されます。
また、食生活も非常に大きな問題です。とくに暴飲暴食は胃液の分泌を促進しますし、喫煙習慣のある人は、胃粘膜の血流が悪くなるため要注意とされています。アルコールも大量摂取すれば大きな問題となりますが、適量に抑えておけば、血流や粘液の分泌に良い影響をもたらすとされています。
その他、「関節リウマチ」などに使用される「非ステロイド性消炎鎮痛剤」などが血流低下を促し、胃潰瘍の原因となってしまうことがあります。
繰り返す胃潰瘍にはピロリ菌の除菌も!
ピロリ菌にとって胃は快適な空間で、一度感染するといつまでも居座って「悪さ」を働きます。そのため、胃潰瘍を患うと何度も繰り返しやすいのが現状です。とくに仕事上のストレスなどがたまりやすい人は警戒する必要があるでしょう。もし再発を繰り返すようであれば、「除菌」を考慮することも重要になります。
除菌によって再発が減っているという実績が上がっているため、非常に有効な手段となります。ピロリ菌の除菌には、2種類の「抗菌薬」と「プロトンポンプ阻害薬(PPI)」の計3種類の薬が使用されています。抗菌薬は菌を死滅させるよう作用するもので、PPIは、胃液の分泌量を抑えながら、抗菌薬の効き目を高める作用があります。
服用期間は1週間程度。毎日朝夕の食後に服用し、約1ヶ月後の検査で除菌に成功したかを確認します。胃潰瘍の他にも「胃MALTリンパ腫」などの治療実績も良好ということで、様々な胃の病気の治療や予防にも、除菌が期待されています。
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