足の血管が浮き出る病気・下肢静脈瘤の症状と治療法は?
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目次
足の血管が浮き出る原因とは?
私たちの体内では、心臓のポンプ機能によって十分な酸素と栄養を含んだ血液が「動脈」を通り、全身の末梢に至るまで運ばれています。そして、体内で発生した二酸化炭素や老廃物を含む血液が「静脈」を通り、心臓へ戻ってきます。この一連の循環はどんな時でも常に行われていますが、心臓の拍動が及ぶ範囲は動脈のみで、静脈には作用が及ぶことはありません。では、静脈はどうやって血液を心臓まで送り返すことができるのでしょうか。その答えは「筋肉の弛緩と拡張」によるポンプ機能です。とくに心臓から遠い足の血液を重力に逆らって送り返すには「ふくらはぎのポンプ機能」がどうしても必要です。いわゆる「第二の心臓」と呼ばれる大事な役割を果たすのがふくらはぎの筋肉です。
つまり、全く足の筋肉を使わない場合は、心臓へ血液を送り返すことが難しくなり、血液がうっ帯して足の血管が浮き出るといった現象が起こりますが、もう1つ重要な要素が絡んでいます。それは、静脈のみにある機能で「逆流防止弁」です。この弁は血液が心臓に向かって流れる時だけ開く仕組みになっており、正常に作用していれば、血液の逆流はありえません。しかし、何らかの原因でこの弁が不具合を起こしたり、破壊されてしまうと、結果として逆流が生じ、そのすぐ下の静脈内で血液がたまった状態を作り出してしまいます。よって、ボコボコとした足の血管が浮き出る人は、この逆流防止弁が正常に機能していない可能性があります。
女性に多い原因とは?
この下肢静脈瘤は40歳以上の女性に非常に多いのですが、とくに妊娠や出産が発症のきっかけになっている場合があります。妊娠後期になると女性ホルモンの1つである黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌が盛んになり、これが骨盤内の血流を促進し、血管を広げる作用があります。血流がアップすることは良いことのように思いがちですが、子宮が大きくなった妊娠後期は足の付け根の血管に強い腹圧がかかってしまい、逆流防止弁にかかる負担も大きくなってしまうのです。足の血管が浮き出るような現象は、妊娠・出産がきっかけとなることを認識しておきましょう。この病気は基本的には不可逆的で自然に治ることはありませんが、唯一妊娠・出産に関する場合に限り、自然に改善されるケースもあります。
足の血管が浮き出たらレーザー治療!?
この病気には、足の静脈のどこに障害が及んでいるかで、いくつかのタイプに分かれています。そして、細い血管に起こる「網目状静脈瘤」や「クモの巣状静脈瘤」などの場合、レーザー治療などが行われています。皮膚の上からレーザーを照射して、血管を閉塞させることで改善が見込めるとされ、痛みに関しても「輪ゴムでパチンと弾かれたような」という程度で、安全生も高いという評判です。また、血管内にカテーテルを通し、そこにレーザーファイバーを挿入して照射を行い、弁の異常が確認されている部分を焼きつぶす方法もありますが、いずれにしても日帰りでの治療ができるため、患者さんには喜ばれているようです。ただし、足の血管が浮き出て恥ずかしいからといって、簡単に事を進めることはおすすめできません。かといって、放置しておくと悪化する可能性も十分あるため、信頼できる病院の医師とよく相談した上で、治療法を決めて下さい。
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