手の指の付け根が痛い・しこりがあるのはばね指(弾発指)!
手の指の付け根が痛いと感じたら、それは「ばね指」の症状かもしれません。これは、手指の曲げ伸ばしを司る「屈筋腱」の滑走障害によって起こるもので、健康な人の屈筋腱は「靱帯性腱鞘」というトンネル内を滑動することでスムーズに指を動かすことができています。
しかし、何らかの原因で腱とトンネルのサイズが合わなくなると、なめらかな滑動が阻害され、腱がしごかれたように一部太くなって「しこり」を作ったり、曲げ伸ばしが難しくなります。
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このように、「手の指の付け根が痛い」「硬いしこりができた」「指を滑らかに曲げたり伸ばしたりできない」などの症状があれば、「弾発指」と診断され、俗にいう「ばね指」を発症していることになります。
目次
指の付け根の痛みはどの指にも起こる!
ばね指は、基本的に手の親指、人差し指、中指、薬指、小指のどの指にも起こり得ます。女性に多く見られるもので、「幼少期」と「中年以降」の2つのピークがあり、前者では親指、後者では中指、薬指に多く見られます。
痛みもさる事ながら、いったん曲げると伸ばすことができない現象は「弾発現象」と呼ばれ、ばね指の一番の特徴的症状となっており、大変不快な思いをします。したがって、症状が出ていない方の手を使って伸ばすしかないという状態にも陥りやすいのです。
しこりが邪魔をすることも手伝って、曲げる時にとくに痛みを伴うことが多くなります。さらに高度になると、完全に曲げたり、伸ばしたりすることができなくなることも想定する必要があるため、手の指の付け根が痛んだり、瘤やしこりのようなものを確認したら、整形外科を受診しておいた方が良いでしょう。
ばね指のタイプは2種類!
ばね指は、「単純性のもの」と「そうではないもの」に大別されています。単純性であれば、指1本だけに症状が現れる「単発性」であることが多く、安静や自然経過によって指の付け根の痛みやしこりも軽快して行くと考えて良いです。治療に関しても、塗り薬や湿布などの外用薬が処方され、手術が必要になることはほとんどありません。
一方、単純性ではないものは複数の指に起こる「多発性」で、しびれを伴う「手根管症候群」などを合併することもしばしばです。「関節リウマチ」「膠原病」などの内科的疾患を持病とされる患者さんが発症するものであり、糖尿病なども関与していることが多いです。治療法は、単発性と同じく外用薬を主体とします。
ただし、指の付け根が痛いということは日常生活に支障が出ることは明らかで、痛みが強くてつらい方には、単純性である、なしに関わらず、「注射による治療法」が有効とされています。この注射は、少量の局所麻酔剤とステロイド剤を配合したもので、症状が出ている指の腱鞘内に注入します。
1回の効果は3~6ヶ月程度となっており、痛みの軽減とともに曲げ伸ばしも楽になるというものです。とはいえ、指の弾発現象そのものを消し去ることができるものでもありませんので、単純性の場合は自然に軽減するのを待つというのが基本的な考え方となります。
注射での軽減が得られなかったり、多発性で重度の手根管症候群を伴うようであれば、「腱鞘切開術」という外科手術も選択肢の1つとされています。手根管症候群とは、手首と手のひらの境目にある「手根管」の内部を通る屈筋腱や「正中神経」に何らかの異常が生じ、主に指のしびれが起こる病気です。
こんな人は要注意!
手の指の付け根が痛いと訴える人は多いもので、とくにスポーツで前腕や手首などの「腱鞘炎」を繰り返したり、「ピアニスト」「漫画家」「ライター」など手や指を酷使するような職業の方は要注意です。炊事や洗濯、食器洗い、パソコン作業などは必要以上に力を使うことはありませんが、握力を要するような作業は腱鞘炎を起こしやすくなり、屈筋腱が肥大してトンネルに引っ掛かる原因となります。
しかし、それも程度の問題で、「毎日編み物ばかりしている」「ミシンで作業をしている」「キーボードに1日中触れている」という女性は、手や指に力が入り過ぎることもあるため、しっかり手の休養を取ることも大切になります。こういった指の関節に現れる症状は、手を使っている時ではなく、夜寝る前や朝の起床時などに症状が現れやすい傾向があるため、併せて注意しておきましょう。
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