体の至る所に起こる様々な症状についてわかりやすく説明します。

手の小指や薬指のしびれは肘部管症候群の症状!?

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手の小指や薬指のしびれは肘部管症候群の症状!?手の小指や薬指のしびれの原因として「肘部管症候群」が挙げられます。この病気は、とくに男性に多く、幼少期に肘を骨折したことのある人や、重労働をしている人などによく見られる神経障害の1つです。進行すると完治が難しいこともあり、早期発見と早期治療が必要になります。

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目次

小指や薬指のしびれの原因は?

手の指の知覚を支配する神経には「正中神経」と「尺骨神経」があり、前者は手の「親指、人差し指、中指、薬指の中指側半分」を支配し、後者は「薬指の小指側半分、小指」を支配しています。そのうち、尺骨神経は肘の内側にある「肘部管」という管の中を通っています。

 

肘の内側では「尺側手根屈筋」という筋肉が2つに枝分かれしており、それを「オズボーンバンド」と呼ばれる線維が繋いでいます。このすぐ下の狭い隙間を通っているのが尺骨神経ですが、何らかの原因でこの神経が圧迫されると、肘を曲げ伸ばしする際に、神経が引っ張られたり、摩擦が起きたりして神経がダメージを受けます。その結果、知覚を支配している手の「小指や薬指」にしびれや知覚障害が現れることになります。
 
女性に多い手のしびれの原因とは?
 

手の筋肉が萎縮することも!

尺骨神経は、小指や薬指だけでなく、手の甲の骨と骨の間の筋肉などを支配していることもあり、神経の障害を放置しておくと、手の筋肉に萎縮が起こりはじめます。手の甲側では骨と骨の間が痩せてきたり、手のひら側では小指の付け根の下の部分が痩せて行きます。

 
手の小指や薬指のしびれ
 
それにより、徐々に平べったい手に変化することも多く、指が非常に使いにくくなります。人差し指と中指を交差させたりすることも難しい状態になります。また、「かぎ爪指変形」といって、小指や薬指の関節が曲がったまま、伸ばせなくなります。

 

発症のきっかけは?

加齢や肘の酷使による「変形性肘関節症」が原因となっていることが最も多く、長い間の重労働などで肘に異常な出っ張りができ、尺骨神経を圧迫してしびれを感じるようになります。とくに50代の男性が発症するケースが多いとされています。

 

また、肘部管症候群は、幼少期に肘を骨折したことで起こる「外反肘」が深く関わっています。これは、4~5歳頃に肘を骨折した際、適切な治療を受けずにそのまま放置することで、骨がきちんとくっつかず、「偽関節」と呼ばれる状態になることが原因となっています。

 
肘部管症候群
 
外反肘とは、肘から下の部分が手の親指側に曲がった状態を意味しており、この場合、肘の曲げ伸ばしの際に、尺骨神経が障害されやすくなっています。そして、30歳頃になってはじめて、小指や薬指のしびれなどの症状が現れてくるのです。

 

小指や薬指のしびれは改善できる?

外傷性のものであれば、「保存的療法」を行うことで改善が期待できます。極力患部を安静に保ちながら、消炎鎮痛剤やビタミン剤などによる薬物療法が行われています。ただし、外傷性以外や筋肉に萎縮が見られる場合は、すぐに手術ということも考えられます。オズボーンバンドを切開して、尺骨神経を圧迫から解放するための手術です。

手の小指や薬指のしびれ

「ガングリオン」という、ゼリー状の物質が関節の袋の部分にたまることもあるため、これを取り除く手術なども行われています。また、それぞれの原因に合わせて、「内側上顆」という骨の出っ張りを削ったり、筋肉を一旦切り離し、その下に神経を移動させる「筋層下前方移行術」などが必要になるかもしれません。

 

筋肉が痩せて、手がひらべったくなっている場合、神経の障害が完全に回復しないこともあるため、できるだけ早い時期に治療を開始する必要があります。それでも、小指や薬指のしびれや知覚障害の多くは改善されますし、多少動かしにくくなりますが、諦める必要はありません。

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