長期間の腹痛・背部痛・軟便は慢性膵炎の症状です!
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目次
腹痛・背部痛は鈍痛程度のことも
膵臓は胃の後ろの背骨に近い部分にあるため、慢性膵炎では、へその上辺りの激しい腹痛だけでなく、背部痛を感じたり、肩にも強い痛みが出ることは多いものです。しかし、鈍痛程度の軽い症状が数ヶ月も続くような人も珍しくありません。常にお腹に重苦しさを感じていたり、膨満感、食欲不振、下痢、体重の減少なども現れますが、いずれも比較的軽いものです。飲酒後や脂っこいものを食べた後などに痛みや不快感を感じることも多いため、アルコールを控えたり、食事をセーブしている人も少なくありません。また、この病気は経過が長くなるほど症状が軽くなるという特徴もあります。もちろん快方に向かっているのではなく、膵液の分泌量が減ることで膵管の内圧が高まることも少なくなるため、痛みを発生させるような力が膵臓に残っていないことを意味します。肝硬変と同じように、高度な線維化が進み、凸凹とした膵臓に近づいている証拠です。
軟便は白っぽく臭いが強い!
病気が進行して膵臓の機能が低下すると、消化不良や軟便といった症状が現れています。元々膵臓は食べ物の消化に必要な酵素を分泌して、十二指腸へ送る重要な働き(外分泌機能)を担っているいるため、機能が低下して膵液の分泌量が減ってしまうと、食べたものの消化に支障を来たします。特に、水に溶けない脂肪を分解するには、胆汁に含まれる胆汁酸に加え、膵液に含まれるリパーゼという酵素が必要不可欠であるため、膵液を作り出せなくなると、脂肪を含んだ白っぽい軟便(脂肪便)が見られることも特徴の1つとされています。同様に、消化されないタンパク質の腐敗によって、普段の便より悪臭を帯びることも多くなります。
腹痛や背部痛が消失する頃には
膵臓のもう1つの働きに、血糖値を下げる「インスリン」、逆に血糖値を上げる「グルカゴン」、その両者の分泌を抑制する「ソトマスタンチン」といったホルモンを分泌して、血液中に送り出す働き(内分泌機能)があります。これらは、膵臓内に100万個ほど点在するといわれる「ランゲルハンス島」の特殊な細胞によって作られ、分泌されるホルモンですが、膵機能が著しく低下すると、インスリンが完全に不足して「膵性糖尿病」を発症します。もちろん線維化が進んだ膵細胞が元に戻ることはありませんので、インスリン注射が必須となってきます。ですから、膵機能が著しく低下する「非代償期」に入る前に、適切な治療を受けたり、食生活などの改善に務めなくてはなりません。この病気の発症には「特発生」と呼ばれる原因不明のものもありますが、長期間のアルコール摂取が一番の原因となっていますので、飲酒家の人は控える努力も必要となるでしょう。また、胆石保有者にも多いため、要注意です。
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