体の至る所に起こる様々な症状についてわかりやすく説明します。

鼠径ヘルニアの原因と症状・男性と女性では異なる!?

鼠径ヘルニア 症状

鼠径ヘルニアの原因と症状・男性と女性では異なる!?「鼠径ヘルニア」という病気をご存知でしょうか。腹腔内臓(とくに大腸の一部)が、先天的に開いている穴(ヘルニア門)から腹部に覆われたまま飛び出したり、生後(後天的)に作られた穴から飛び出すような状態を呼んでいます。

 

その症状から「脱腸」という名称でも知られており、子どもに多いと思われがちですが、加齢によって腹部や鼠径部周辺の筋肉が弱くなることが原因となり、鼠径ヘルニアを発症する人も増えています。圧倒的に男性に多いというイメージがありますが、女性の場合は妊娠・分娩が原因となって発症するケースも珍しくありません。

 

また、男性と女性では多少症状が異なるという特徴も持っています。一度患ってしまえば、自然に治ることはありませんし、飛び出した内容が元に戻らなくなる「嵌頓(かんとん)」という状態に陥ると、腸閉塞や腸管の壊死といった危険性もあるため、まずは早期に専門医に相談することが大切です。

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目次

鼠径ヘルニアの症状

まず男性では、先天的異常によってヘルニア門が作られているケースも珍しくなく、乳幼児期に鼠径部が膨らんで突起しているような症状が見られます。たとえ子どもの頃の発症はなくても、年齢を重ねることで先天的異常が見られる部分にヘルニアが起こり、太ももの付け根付近に膨らみが現れることもあります。

 

また、中高年になると鼠径部周辺の筋力低下が避けられず、ヘルニア門を形成したり、腹膜が皮下に突出したりすると、そこから大腸などが飛び出すことにより、鼠径部に大きな膨らみが目立って来る場合もあります。

 

重いものを持ったり咳が続いたりすると、腹部に力が加わり、その度に膨らんで来るといった症状も特徴的です。基本的に痛みはありませんが、それも個人差やタイプによっても異なってきます。男性では、進行すると陰嚢にまで症状が及ぶこともあり、また、体の右側に起こることが多いという特徴もあります。前立腺疾患による手術後に発症することも多いため、注意が必要です。

 
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一方、女性の場合は先天的異常も少なく、乳幼児期にはほとんど見られません。年齢を重ねることで発症した場合、鼠径部より下の大腿部(太もも)のあたりに膨らみなどの症状が現れやすくなっています。女性では、その膨らみが小さいために発見しにくいという特徴もあります。

 

鼠径ヘルニアの種類

鼠径ヘルニアは、飛び出した内臓の状態により、下記の「還納性」「不還納性」「嵌頓」の三種類に分類されます。

 

・還納性ヘルニア
飛び出した内蔵を完全に元の腹腔内に戻すことができるもの。このタイプは、内臓の脱出や還納が容易にできるヘルニア腫瘤があり、急に立ったり、怒ったり、咳をしたりするだけで脱出しやすくなっています。苦痛を伴う症状はとくにありません。

 

・不還納性ヘルニア
飛び出した部分を完全には還納することができません。症状として、疼痛や便秘などが強く現れる傾向があります。また、このタイプは嵌頓ヘルニアの偶発症を起こしやすく、未然に防ぐためにも早期の治療が必要です。

 

・嵌頓ヘルニア
飛び出した内容がヘルニア門に締め付けられて還納できない状態を呼びます。膨らみが硬くなると同時に強い痛みを伴います。嵌頓を放置すると腸閉塞を起こしやすく、主に小腸などの血行障害が起きて壊死してしまう危険性が高くなります。

 

そのまま肺血症に繋がり、ショック状態となって意識を失ってしまうこともあるため、自分で膨らみを納めることができないような場合は一刻も早く受診する必要があります。

 

鼠径ヘルニアの原因は男性と女性で異なる!?

前述したように先天的異常は圧倒的に男性に多いです。また、40~50歳くらいになると、腹筋や足の付け根などの筋肉も弱って来るため、お腹に力を入れるような仕事をしている人は発症のリスクが高まります。

 

とくに重い荷物を抱えて運ぶ職業の方やスポーツ選手などはお腹に力を入れることが原因で、ヘルニア門を形成しやすくなります。立ちっ放しの仕事もお腹に負担がかかるため、発症しやすいといえます。前立腺肥大による排尿障害を持つ男性は、どうしても腹部に力が入るため、注意しなければなりません。

 
鼠径ヘルニア 手術
 
また、女性の場合は、圧倒的に妊娠・出産後の発症が目立ちます。分娩が原因で鼠径ヘルニアを発症する人も多く、また、ひどい便秘によって常にトイレでいきむような人は男女ともに要注意です。その他、喘息や花粉症などが原因で、咳を頻発する症状でお悩みの方も発症する可能性が高くなります。

 

外科などで検査をした後、診断が下ると、ヘルニアの出口を閉じるために手術が必要になります。大掛かりな切開手術の他、腹腔鏡を使って「メッシュ」と呼ばれる人工の網を装着して、出口を塞ぐだけの簡単な手術で済む場合もあります。以前に比べ、再発率は非常に低くなっているため、必要以上に心配することなく、落ち着いて対処して下さい。

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